投稿日 2014年10月22日
国民の「知る権利」を奪う、秘密保護法の廃止を求める意見書
はじめに
2013年12月6日、「特定秘密の保護に関する法律」(以下「秘密保護法」という)が強行可決された。これに先だち、2013年12月4日、日本版NSC(国家安全保障会議)が発足し、最初に「国家安全保障戦略」(同年12月17日・同日閣議決定)を決定した。戦略の基本理念として打ち出された「積極的平和主義」は、軍事力の強化により発言力を高め、その威力で主導的役割をはたそうとするもので、憲法9条の平和主義とは正反対のものとなっている。秘密保護法、その後の「武器輸出三原則」の廃止・「防衛装備移転三原則」の閣議決定もこの戦略の実行に他ならない。
2014年7月1日、安倍内閣は集団的自衛権行使を認める閣議決定を行った。歴代の政府が憲法9条の下では集団的自衛権は認められないとしてきた憲法解釈をもやぶり、憲法9条を無視する態度である。それが、安倍内閣の国家安全保障戦略の要点であり、海外でアメリカといっしょに戦争する道にふみ出すものである。憲法9条と日米安保体制・日米同盟路線の矛盾を憲法9条の黙殺によって「解消」したことにして、自衛隊を米軍とともに海外で戦う軍隊にひきこむ道である。
秘密保護法、集団的自衛権行使容認を止め、憲法第9条を生かす道を選ぶ国民の方が多数であることは各種世論調査が示している。しかし、政治の現実は、逆である。安倍内閣与党が衆議院、参議院とも圧倒的多数なのである。これには、一つの選挙区で一人の議員を選ぶ小選挙区制のからくりが影響している。2012年12月の衆院総選挙で自民党は294という圧倒的な議席を獲得しているが、比例区の得票率は27.26%にすぎなかった。1選挙区1議席(小選挙区制)、2位以下の票はすべて死票というゆがんだ選挙制度が、憲法無視の暴走政治の大きな要因になっているのである。
今、真の民主主義の力が求められている。私たちは、秘密保護法に焦点を当て、その一助となることを願ってこの意見書を発表することとした。
意見書は、①憲法の平和主義・9条と秘密保護法、②主権者国民の知る権利と秘密保護法、③行政権力の集中と議会制民主主義を否定する秘密保護法、④「適正調査」と罰則による国民の人権侵害、⑤市民活動の自由を侵害する秘密保護法、⑥戦前の秘密保護法令の教訓、⑦秘密保護法の廃止の実現について、これら諸点をとくに平和・人権・民主主義という憲法の原則から解明することに努めた。とくに、国民主権を実現するための不可欠の人権として知る権利を位置づけ、秘密保護法が権利を侵し国民主権原理を否定する危険な性質をもつことを明らかにした。
戦争とは、「武器を使って争うこと、とくに武力を行使する国家間の争い」である。殺し合いと破壊を本質とする。殺人は誰もが認める犯罪であるが、戦争ではそれが手柄となる。戦争はそのような異常な人間行動を強制するものである。そのために、その異常さを受け入れる兵士と国民が必要となる。
戦争を指導する者たちは、自ら戦争には行かない。若者たちをその気にさせて戦場に送るのである。そのために秘密、さらには謀略、国民とりわけ若者をその気にさせる教育が必要となる。それを許してはならない。
目 次
はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第1 秘密保護法を平和主義・憲法9条から検討する ・・・・・2
第2 国民の「知る権利」と秘密保護法 ・・・・・・・・・・・・・・・・4
第3 議会制民主主義の崩壊の始まり ・・・・・・・・・・・・・・・・7
第4 「罰則」、「適正調査」条項に見る人権抑圧・・・・・・・・10
第5 「国民の情報」から国民を遠ざける法律 ・・・・・・・・・・13
第6 戦前の秘密保護法令からの教訓 ・・・・・・・・・・・・・・・16
第7 秘密保護法を廃止するために・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
NPO法人 日野・市民自治研究所の紹介・・・・・・・・・・・・・22
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国民の「知る権利」を奪う、秘密保護法の廃止を求める意見書PDF
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